ギターを弾くと指が思った通りに動かないのは何故?
最近、ギターを弾くと指が思った通りに動かない——
そんな違和感を覚えることはありませんか?
以前は何も考えずに弾けていたフレーズが、
今は指がついてこなかったり、勝手に動いてしまったりする。
弦を押さえる左手でも、ピッキングやアルペジオの右手でも、
「いつも通りに弾けない」瞬間が増えていく。
最初は「疲れているのかな」「練習不足かも」と思っていたのに、
休んでも治らず、むしろ悪化していく。
それでも、病院で検査をしても異常はない——。
実はその“思った通りに動かない指”の裏には、
脳の中で起こる小さな誤作動が関係していることがあります。
⇩ギターの方の改善動画です。
“力の入れすぎ”“練習不足”ではない
指が思うように動かなくなると、多くの人はまず「力の入れすぎかな」と考えます。
確かに、力みは演奏の敵です。
でも、いくら脱力を意識しても、うまく弾けないどころか、
余計に指が言うことをきかなくなっていく——そんな経験はありませんか?
また、真面目で熱心なプレイヤーほど「練習量が足りないのでは」と自分を責めがちです。
しかし、練習すればするほど動かなくなっていく場合、
それは脳が動作を誤って記憶してしまった結果、筋力低下が進んでいる可能性があります。
つまり、“動かない”のではなく、“動かし方を間違って覚えてしまっている”のです。
これは怠けでもメンタルの弱さでもありません。
むしろ、毎日同じ動きを繰り返してきた真面目な人ほど起こりやすい現象です。
練習を積み重ねる中で、脳が「弾く=この力加減・この順序」と固定してしまう。
その結果、他の筋肉との協調が失われ、
「指が勝手に動く」「止めたいのに止まらない」という混線が起きてしまうのです。
指が動かなくなる原因は「脳と筋肉のズレ」にある
最も多く見られるのが、弦を押さえる左手の指が思ったように動かなくなるケースです。
特に、薬指や小指が勝手に動いたり、中指が突っ張ってしまったり、
弦を押さえるたびに他の指まで一緒に固まってしまったりする現象です。
最初は、特定のポジションや速いフレーズでだけ違和感が出ることが多く、
「苦手な動きなのかも」と見過ごされがちです。
しかし、やがてゆっくり弾いても同じ指が動かしづらくなり、
“押さえるつもりが、指が止まる・反り返る・一緒に動く”というような違和感が出てきます。
これは、気のせいなどではなく、
脳が「この音型=この力の入れ方」と誤って結びつけてしまったことが原因です。
たとえば、ハンマリングやスライドを繰り返すうちに、
特定の筋肉群が“常に一緒に働くもの”として記憶されてしまうのです。
結果として、薬指を押さえようとした瞬間に小指も反応し、
弦を離したくても力が抜けない——
そんな“脳内の連動エラー”が起こっている状態です。
真面目に練習してきたギタリストほど、
この「誤作動の回路」が深く刻まれやすい。
だからこそ、力を抜こうとしてもうまくいかず、
「どうして指が言うことを聞かないのか」と自分を責めてしまうのです。
ギターの場合は、右手でも左手でも症状がでます
次に多いのが、右手のピッキングやアルペジオのときに動きが乱れるケースです。
特に「ピックが持てなくなった」「弦移動のたびに手が固まる、指が巻き込む」「指が硬直してアルペジオがぎこちない」「ストロークをすると勝手に手のひらが上を向いてしまう」といった違和感です。
このタイプでは、ピックを持つ親指と人差し指、
あるいはアルペジオで動かす中指・薬指の微細な筋活動のバランスが崩れている可能性がとても高いです。
本来は「押弦側の動きに合わせてリズムを刻む」ように、
右手はリズムの基盤として安定して働くべきですが、
脳がピッキングそのものを“意識して制御する動き”として再学習してしまうことで、
本来の自動運動がうまく働かなくなります。
結果として、
・ピックが弦に引っかかるように感じる
・弦移動で腕全体がついてくる
・速いアルペジオで小指が浮き上がる
・手のひらが天井を向いてくる
・ピックがズレる
など様々な症状が起こります。
これは、
脳が「力を抜く=ピッキングが崩れる」と誤って覚えている状態です。
つまり、ピッキングを意識すればするほど、
本来のリズム自動化システムが上書きされてしまうのです。
そのため、右手の場合も「力を抜く練習」ではなく、
脳の命令順序を一度リセットして組み直すことが必要になります。
これが、OJR(ワンジェイ・リトレーニング)で目指す再教育の出発点です。
OneJリトレーニングで動きの順序を再学習する
左手でも右手でも、根本の原因は共通しています。
それは、脳の中で「弾く動作」のプログラムが誤って固定されてしまったことによって、使う筋肉と使わない筋肉が偏り、筋力低下が進んでしまった状態です。
脳は、長期間同じ動作を繰り返すほど、
「どの筋肉を、どの順序で、どの強さで動かすか」という命令を自動化していきます。
本来これは効率的な仕組みですが、
一部の動きが強く結びつきすぎると、別の筋肉との協調が阻害され、
“動きの混線”が起こるようになります。
つまり、脳が「このフレーズ=この動かし方」と誤って記憶してしまうと、
別の筋肉を休ませたくても、同時に働かせてしまう。
それが「指が勝手に動く」「止めたいのに止まらない」といった現象の正体です。
この“脳の誤作動”を修正するために行うのが、
私が提唱しているOJR(通称:ワンジェイ・リトレーニング)です。
OJRは、1つの関節・1つの筋肉にフォーカスして、
筋力のバランスを整えながら、脳の命令順序を再教育する方法です。
ギター演奏のように多関節で複雑な動きの場合、
まずは1つの関節に戻って動作を整理することで、
脳が“正しい指令経路”を再び構築できるようになります。
つまりOJRは、筋トレの要素だけではなく「脳と筋肉の対話を再設計するリハビリ」です。
このプロセスを繰り返すことで、徐々に“指が思った通りに動く感覚”を取り戻していけます。
また自然に弾けるようになるために
「昔みたいに弾けなくなった」——
その現実を受け入れるのは、とても苦しいことです。
でも、あなたの指は壊れたわけではありません。
脳が少しだけ、動かす順序を間違えて記憶しているだけ。
その順序を丁寧に整え直せば、指は再びあなたの音に応えてくれます。
OJR(ワンジェイ・リトレーニング)は、
筋力を整えながら、脳の命令の流れを再教育していく方法です。
焦らず、少しずつ、正しい感覚を取り戻していきましょう。
あなたの音楽が、再び自然に響き出す未来を信じて。
右手の症状でも左手の症状でも最初にやるべきことは同じです。
→ [OJRによるリトレーニングの詳細を見る]


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