字を書くと思った通りに動かない方へ

字を書くと思った通りに動かない

字を書くと思った通りに動かない方へ

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字を書くとき、手が思った通りに動かないのは何故?

最近、字を書くと手が震えたり、思うように動かなくなることはありませんか?
最初は「疲れているのかな」「年齢のせいかも」と感じる人が多いですが、休んでも治らず、日に日に書きづらくなる──。
そんなとき、「ペンの持ち方が悪いのか」「力を抜けと言われても抜けない」と悩んでしまう方がたくさんいます。
実はこの“書くときだけ起こる違和感”は、単なる疲労やクセではなく、脳の中での動きのプログラムが少しだけズレていることが関係していることがあります。

「力を抜けば良い」「腱鞘炎かも」と思っていませんか?

このような症状が出ると、多くの方が最初に「腱鞘炎」や「力の入れすぎ」を疑います。
確かに似たような感覚を伴うこともありますが、腱鞘炎の場合は“痛み”が強く出るのが特徴です。
一方で、痛みがなく「震える」「固まる」「指が思い通りに動かない」といった場合、
実は筋肉そのものではなく、動きを指令する脳の側に原因があるケースが多いのです。

これは、身体がサボっているわけでも、心の問題でもありません。
むしろ、長年同じ動作を繰り返してきた真面目な人ほど起こりやすい現象です。
たとえば、ペンを何十年も使い続けた人、ピアノを練習してきた人などに多く見られます。

つまり「使いすぎ」ではなく、“同じ使い方を繰り返しすぎた”結果として、脳がその動きを過剰に覚えてしまった状態なのです。

指が震える、固まる。。。それは筋肉だけではなく脳の誤作動かもしれません

脳は、私たちが動くたびに「どの筋肉を、どの順番で、どのくらい動かすか」を一瞬で判断しています。
この“動きのプログラム”は、繰り返すほど自動化され、意識しなくてもスムーズに動けるようになります。
たとえば、自転車に乗るときのように、いったん覚えた動きは無意識で再現される。
それは脳の中に「動きの設計図」が保存されているからです。

しかし、ある特定の動きを長期間・正確に繰り返し続けることで、
その設計図が少しずつ歪んでしまうことがあります。
“型”が固定されすぎて、別の筋肉との協調が抑えられてしまうのです。

その結果、「力を抜きたい」と思っても、
脳が「この動作=この筋肉を同時に使う」と誤って覚えてしまい、
本来休むべき筋肉まで働いてしまう。
つまり、脳の中で命令の混線が起きている状態です。

この現象は、医学的には局所性ジストニア(Focal Dystonia)と呼ばれますが、
私はこれをより広い視点で局所性ジストニズム(Local Movement Dystonism)と定義しています。
「病気」ではなく、「脳内の動作プログラムの歪み」──
つまり、再教育(リトレーニング)によって修正できる“動きの現象”として捉えるのです。

たとえるなら、
“同じ道を何度も通るうちに、脳の中の道がえぐれてしまった”ような状態です。
そのため、新しい道(動き方)を覚えさせる必要があります。
それがリトレーニングで行う「脳の再教育」です。

書く動作だけで症状が出る理由

では、なぜ“書くときだけ”この症状が出るのでしょうか?
実は、「特定の動作を繰り返すほど、脳のプログラムが偏りやすい」という性質が関係しています。

字を書く動作は、見た目以上に複雑です。
手首、指、腕、肩、そして目までもが細かく連動しながら動いています。
その中でも特に指先の動きは、脳が最も精密に制御している部分です。
つまり、最も繊細で、最も誤作動しやすい動作でもあるのです。

たとえば、
・力を入れすぎないように意識する
・きれいな字を書こうと細かく調整する
・スピードや筆圧をコントロールする
といった行為を長年繰り返すことで、脳が「書く=この動き」と強く固定してしまいます。

その結果、“書く”動作のスイッチが入った瞬間に、
脳が以前の誤ったパターンを自動的に呼び出してしまう。
だから、「書くときだけ動かない」「他の動作は問題ない」という状態が生まれるのです。

脳と筋肉の関係を整えるOJRとは?

では、この“誤作動した動きのプログラム”は、どうすれば修正できるのでしょうか。
答えは、脳に新しい正しい動きを再教育することです。
これが、私が提唱している「OJR(ワンジョイント・リトレーニング)」という方法です。

OJRでは、単に筋肉を鍛えるわけではありません。
必要な筋力を整えながら、脳が動作を組み立てる順序を同時に学び直していきます。
つまり、“筋力とプログラムの再構築を一体化したリトレーニング”です。

たとえば、誤って覚えた文字の書き順を、一度リセットして正しい順序に書き直すようなもの。
力を抜く、スムーズに動かす、思った通りに指を動かす——
それらを支える筋肉と、脳の命令の順序を同時に整えていきます。

この過程で大切なのは、「がんばって動かそう」とする意識を減らすこと。
過剰な努力は、脳の混線を強めてしまいます。
だからこそ、最小限の力で、正しい順序で、正しい感覚を取り戻す
それがOJRの核です。

脳は変化できる臓器です。
誤って覚えた動きでも、筋力とともに適切な刺激を与えれば、確実に書き換えることができます。

指や脳そのものは壊れていません。動きの順序を整え直せばまた書けるようになります

「疲れているだけかも」「年齢のせいかな」と思っていた違和感も、
実は“脳と体の連携”を整えることで少しずつ変わっていきます。

無理に動かそうとせず、焦らず、正しい順序で。
脳と筋肉のつながりを丁寧に整えていくことが、改善の第一歩です。

動きの誤差は、誰の中にも起こりうる“現象”です。
そしてそれは、リトレーニング(OJR理論)を通して確実に書き換えることができます。

あなたの手が再び自然に動き出すための第一歩は、リトレーニングの仕組みを正しく理解することから始まります。
単関節リトレーニング(OJR)──動きを再教育する最小単位

同じような現象がピアノでも起こります。
🎹ピアノで指が思った通りに動かなくなった人へ

ギターでも同じことが起こるんです。
🎸ギターを弾くと指が思った通りに動かない方へ

手だけでなく、足にも同じような症状があります
🏃走るときに足が思った通りに動かない方へ

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